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乳腺炎

乳腺炎は乳房に炎症が起こる病気で、授乳中の方だけでなく授乳していない方にも起こることがあります。
乳房の赤み、痛み、腫れ、発熱などの症状がみられます。抗菌薬などによる治療が必要になる場合があり、膿瘍を形成した場合には処置が必要となることもあります。症状がある場合は早めの受診をおすすめします。

乳腺炎の症状について

乳腺炎の症状は、乳房局所の変化から全身の不調まで多岐にわたります。初期段階では乳房の一部が硬くなり、軽い痛みや違和感を覚えることから始まりますが、進行すると日常生活に支障をきたすほどの強い症状が現れることもあります。以下に、臨床でよく見られる主な症状を挙げます。

乳房に現れる局所的な症状

乳房の特定の場所が赤く腫れ、触れると熱を持っているのがわかります。この赤みは乳房の赤みとして現れ、炎症が広がると範囲も拡大します。また、乳腺の中に母乳や膿が溜まることで、はっきりとした「しこり」を感じるようになります。このしこりは非常に痛みが強く、少し触れただけでも飛び上がるような鋭い痛みを感じることが特徴です。

症状の詳細については「乳房の赤み」のページを参照してください。

全身に現れる症状

乳腺炎は、乳房だけの病気ではありません。特に感染を伴う場合は、急激な体温上昇が見られ、38度以上の高熱が出ることがよくあります。インフルエンザにかかったときのような、激しい関節痛や筋肉痛、寒気(悪寒)を伴うことも珍しくありません。全身の倦怠感が強く、起き上がることすら辛いと感じる患者さんも多くいらっしゃいます。

乳房の痛みとしこり、そして高熱が同時に現れた場合は、早急な対応が必要なサインです。痛みの詳細については「乳房の痛み」のページや「乳房のしこり」のページも確認してください。

乳腺炎の原因について

乳腺炎が起こるメカニズムは、大きく分けて「母乳の停滞」と「細菌の感染」の2つがあります。これらが単独で起こることもあれば、重なり合って悪化することもあります。それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。

母乳の通り道が塞がることによる停滞

授乳期において、母乳が乳管の中に溜まってしまうことが最も一般的な原因です。赤ちゃんの飲み残しや、授乳の間隔が空きすぎること、あるいはきつい下着による圧迫などがきっかけで、母乳の通り道がスムーズにいかなくなります。これを「乳汁うっ滞」と呼び、溜まった母乳が周囲の組織を刺激することで炎症が引き起こされます。

乳頭の傷からの細菌侵入

授乳中に赤ちゃんが乳頭を噛んだり、乾燥したりすることで、乳頭に小さな傷ができることがあります。その傷口から、手指や赤ちゃんの口の中にいる細菌(主に黄色ブドウ球菌など)が乳管内に入り込み、増殖することで感染が起こります。清潔を保つことは大切ですが、どんなに気をつけていても細菌は侵入することがあるため、無理な自己解決は禁物です。

非授乳期における原因

授乳をしていない時期に起こる乳腺炎もあります。これは乳管の中に分泌物が溜まったり、乳管そのものが拡張したりすることで、そこに細菌が感染したり、強い免疫反応が起きたりすることが原因です。喫煙がリスク因子として指摘されることもあります。また、糖尿病などの持病がある方は、感染を起こしやすく、重症化しやすい傾向があるため注意が必要です。

乳腺炎の病気の種類について

乳腺炎には、その原因や発症の時期、症状の現れ方によっていくつかの種類に分類されます。ご自身の症状がどれに該当するのかを知ることは、適切な治療への第一歩となります。

うっ滞性乳腺炎

授乳期の初期に多く見られる、母乳が詰まることで起こる炎症です。細菌感染は伴っていないため、熱はそれほど高くならず、乳房の張りや痛み、部分的なしこりが主な症状です。適切な授乳やマッサージによって、溜まった母乳を排出することで症状の緩和が期待できます。

急性化膿性乳腺炎

うっ滞性乳腺炎が悪化したり、最初から細菌感染が加わったりした状態です。非常に強い痛みと高熱、乳房の激しい赤みが特徴です。炎症が進むと乳房の中に膿が溜まり、「乳腺膿瘍」という状態になることがあります。この段階では、お薬による治療や、場合によっては膿を出す処置が必要になります。

乳輪下膿瘍

乳頭の陥没がある方などに多く、授乳とは関係なく起こります。乳頭の下にある乳管に細菌が感染し、繰り返し腫れたり、膿が出たりするのが特徴です。一度治っても再発しやすいため、根本的な原因にアプローチする丁寧な診療が求められます。

肉芽腫性乳腺炎

比較的珍しいタイプですが、近年注目されている乳腺炎です。授乳後数年経った方に多く、乳房の中に硬いしこりが多発し、皮膚に穴が開いて膿が出ることもあります。自己免疫反応が関係していると考えられており、一般的な抗生剤が効きにくいため、乳腺専門医による専門的な診断と治療が不可欠です。

詳細な診断については「検診で異常を指摘された」のページも参考にしてください。

乳腺炎の治療法について

治療の基本は、炎症を鎮めることと、溜まったものを排出することです。当院では、患者さんのライフスタイルや授乳の継続希望に合わせ、適切な方法を提案します。

保存的な治療とセルフケアの指導

軽度のうっ滞性乳腺炎であれば、まずは母乳の排出を促します。効率的な授乳の方法や、乳房を圧迫しない姿勢、ご自身でできる優しいケアについてお伝えします。無理に強く揉むことは炎症を悪化させる恐れがあるため、当院では推奨していません。水分補給をしっかり行い、ゆっくり休むことも大切な治療の一部です。

お薬による治療

細菌感染が疑われる場合には、抗生剤を使用します。授乳中の方には、赤ちゃんへの影響がほとんどないと考えられている種類のお薬を慎重に選択しますので、安心してください。また、痛みや熱が辛い場合には、解熱鎮痛剤を併用して、体力の消耗を防ぎます。炎症が強い場合は、湿布などで局所を冷やすことが有効な場合もあります。

切開排膿による処置

乳腺の中に膿が溜まってしまい、お薬だけでは改善が難しい場合は、皮膚を少し切開して膿を外に出す処置(切開排膿)を行います。膿を出すことで、驚くほど痛みが軽くなることが一般的です。当院では、できるだけ傷跡が目立たないよう、また痛みを最小限に抑えるよう配慮して処置を行います。

特殊な乳腺炎へのアプローチ

肉芽腫性乳腺炎などの特殊なケースでは、ステロイド剤を用いた免疫抑制治療が行われることがあります。治療期間が長くなることもありますが、経過を精密な超音波検査で確認しながら、じっくりと症状の緩和を目指します。当院では、三重県四日市周辺の基幹病院とも密接に連携しているため、より高度な管理が必要な場合もスムーズな紹介が可能です。

乳腺炎についてのよくある質問

Q1. 授乳中ではありませんが、乳房が痛くて赤いのは乳腺炎ですか?

A1. 授乳期以外でも乳腺炎になる可能性はあります。ただし、乳腺炎と似た症状を示す「炎症性乳がん」という特殊ながんが隠れている可能性も否定できません。当院では放射線診断専門医が画像診断を細かく行い、慎重に病気を見極めます。放置せず早めにご相談ください。

Q2. 乳腺炎のとき、赤ちゃんに母乳をあげても大丈夫ですか?

A2. 基本的には授乳を続けて問題ありません。むしろ、赤ちゃんに飲んでもらうことが、詰まった母乳を出す最良の方法となることが多いです。細菌感染がある場合でも、お母さんの血液を介して赤ちゃんに悪影響が及ぶことはまずありませんが、痛みで授乳が困難な場合は無理をせず、医師に相談してください。

Q3. 食事が原因で乳腺炎になると聞いたのですが本当ですか?

A3. ケーキや脂っこい食事などが原因と言われることもありますが、医学的にはっきりと証明されているわけではありません。特定の食べ物を過度に避けるよりも、バランスの良い食事と十分な睡眠、ストレスを溜めない生活を心がけることが、乳腺の健康維持には大切です。

Q4. 病院に行くタイミングがわかりません。

A4. 「しこりが数日経っても消えない」「痛みが強くなってきた」「熱が出てきた」「皮膚が赤くなっている」のいずれかがあれば、受診を検討してください。早期に対処するほど、お薬だけで早く治る可能性が高まります。

院長より

乳腺炎は、お母さんにとって身体的な痛みだけでなく、「育児を休めない」という精神的なプレッシャーも伴う非常に辛い病気です。また、授乳期以外の方にとっては、なぜ乳房が腫れているのかという大きな不安に繋がります。

私たちのクリニックでは、日本乳癌学会の乳腺専門医である女性医師が専門性を活かして診療にあたります。炎症の背後に「見逃してはいけない病変」がないかを確認し、適切な治療を提供することが私たちの使命です。診察や会計の待ち時間を最小限に抑え、体調が優れない方でも安心して通える体制を整えています。ひとりで悩まず、どうぞお気軽に四日市駅前よしかわ乳腺クリニックへお越しください。

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