脇のしこり
脇のしこりに気づいたとき、多くの方は「乳がんが転移したのではないか」と強い不安を感じることでしょう。脇の下には多くのリンパ節が存在しており、乳腺とも非常に密接な関係がある場所です。脇のしこりはリンパ節の腫れや良性腫瘍のほか、乳癌が原因となることもあります。乳房とあわせて詳しく診察し、必要な検査を行います。
大切なのは、自己判断で放置したり、過度に恐れたりすることなく、専門的な視点から正しく診断を受けることです。私たち四日市駅前よしかわ乳腺クリニックでは、乳腺専門医と、画像診断に精通した放射線診断専門医が、お一人おひとりの症状に真摯に向き合い、精度の高い検査を提供しています。
脇のしこりの原因
脇のしこりが生じる原因は多岐にわたります。しこりの硬さや動くかどうか、痛みがあるかどうかといった特徴は診断の大きな手がかりになります。ここでは、臨床現場でよく見られる主な原因について詳しく解説します。
リンパ節の腫れ
脇の下(腋窩)には多くのリンパ節が集中しています。リンパ節は体内に侵入した細菌やウイルス、がん細胞などを食い止めるフィルターのような役割を果たしています。このリンパ節が何らかの理由で腫れることで、しこりとして触れるようになります。原因としては以下のものが挙げられます。
- 風邪や怪我などによる炎症への反応(反応性リンパ節腫脹)
- 乳がんなどの悪性腫瘍からの転移
- 悪性リンパ腫などの血液の病気
- 猫ひっかき病などの特殊な感染症
副乳(ふくにゅう)によるもの
人間は胎児の時期、脇から足の付け根にかけて複数の乳頭の芽を持っていますが、通常は胸の二つを除いて退化します。この組織が脇の下に残ってしまったものが副乳です。副乳は通常の乳腺と同じように女性ホルモンの影響を受けるため、生理前や妊娠・授乳期に腫れたり痛みが出たりし、それがしこりのように感じられることがあります。これは病気ではなく体質的なものですが、稀に副乳から乳がんが発生することもあります。
皮膚や皮下組織のトラブル
乳腺やリンパ節とは関係なく、脇の皮膚組織からしこりが生じることもよくあります。脇は汗腺が多く、毛を剃るなどの刺激も多いため、トラブルが起きやすい部位です。具体的には以下のような状態が考えられます。
- 粉瘤(ふんりゅう)・・皮膚の下に袋ができ、そこに垢が溜まったもの
- 脂肪腫・・脂肪の細胞が増殖してできた良性の塊
- 化膿性汗腺炎・・脇の汗腺が細菌感染を起こして炎症を繰り返す状態
- 毛嚢炎(もうのうえん)・・毛穴の奥で炎症が起き、しこりのように硬くなる状態
脇のしこりに関連して、乳房にも気になる症状がある場合は「乳房のしこり」のページも併せて参照してください。
脇のしこりによって引き起こされる病気
脇のしこりが単なる一時的な腫れではなく、背景に特定の病気が隠れている場合があります。特に注意が必要な疾患について、それぞれの特徴をまとめました。
乳がんのリンパ節転移
乳がんの細胞が最初に転移しやすい場所が、脇の下のリンパ節(腋窩リンパ節)です。しこりが非常に硬く、周りの組織に固定されて動かないような場合は注意が必要です。検診で異常を指摘された場合や、自分でもしこりを感じる場合は、早急な精密検査が求められます。
詳細については「乳癌(診断、術後フォロー)」のページを参照してください。
乳がん検診について詳しくはこちら
悪性リンパ腫
リンパ球ががん化する血液の病気です。脇だけでなく、首や足の付け根など、全身のリンパ節が腫れることが特徴です。痛みがないことが多く、しこりが徐々に大きくなっていく傾向があります。発熱や寝汗、体重減少などの全身症状を伴うこともあります。
副乳がん
脇にある副乳の組織から発生するがんです。通常の乳がんと同様の検査が必要ですが、発生頻度は非常に低いため、診断が遅れることも少なくありません。脇のしこりが急に大きくなったり、皮膚にひきつれが生じたりした場合は、専門医の診察が必要です。
転移性腫瘍
乳がん以外のがん(肺がん、胃がん、甲状腺がん、皮膚のメラノーマなど)が脇のリンパ節に転移してしこりを作ることもあります。原発(元々のがん)がどこにあるかを特定するために、全身の検査が必要になる場合があります。
脇のしこりの処置や治療法
脇のしこりに対する治療法は、その原因が何であるかによって全く異なります。まずは精密な検査を行い、診断を確定させることが第一歩です。
画像診断による評価
当院では、しこりの状態を正確に把握するために、以下の検査を行います。私たちは放射線診断専門医による丁寧な読影を行い、見逃してはいけない病変を確実に捉えるよう努めています。
- 超音波(エコー)検査・・しこりの内部構造をリアルタイムで観察します。放射線の被ばくがなく、繰り返し行える安全な検査です。
- マンモグラフィ・・乳腺全体の状態を把握し、脇付近に異常な影がないかを確認します。
マンモグラフィについて詳しくはこちら
検査の結果、より詳しい情報が必要と判断された場合は、地域の基幹病院と連携してMRI検査やCT検査を依頼することもあります。
組織診(針検査)
画像診断だけで良性か悪性かの判断が難しい場合、針を刺してしこりの一部を採取する検査を行います。
- 針生検(組織診)・・針を使い、組織の塊を採取し、病理診断を行います。
各原因に応じた治療アプローチ
診断の結果に基づいて、以下のような処置や治療が行われます。
1.良性疾患の場合
脂肪腫や副乳、反応性のリンパ節腫脹などで、特に症状が悪化していない場合は、経過観察となることが一般的です。
2.乳がんや悪性腫瘍の場合
悪性であることが判明した場合は、適切な治療方針を立てる必要があります。手術、化学療法(抗がん剤)、放射線治療、ホルモン療法などを組み合わせて行います。当院では診断後、速やかに最適な高度医療機関へご紹介し、スムーズに治療を開始できるようサポートいたします。
検診での結果について不安がある方は「検診で異常を指摘された」のページもご覧ください。
脇のしこりについてのよくある質問
Q1. 脇のしこりが生理前に痛むのですが、病気でしょうか?
A1. 生理前にしこりが腫れたり痛んだりする場合、多くの場合は副乳や正常な乳腺組織の一部による影響と考えられます。生理が終わると症状が和らぐのが特徴です。ただし、自己判断は禁物ですので、一度は乳腺外来でエコー検査を受けることをお勧めします。
Q2. 脇のしこりは何科を受診すれば良いですか?
A2. 乳房に近い場所ですので、まずは乳腺外科の受診が適しています。リンパ節や副乳など、乳腺に関連する疾患の診断を得意としているからです。もし皮膚の表面に近いトラブルであれば皮膚科、血液の病気が疑われる場合は血液内科をご紹介することもありますが、入り口としては乳腺専門医のいるクリニックがスムーズです。
Q3. 硬いしこりと柔らかいしこり、どちらが危険ですか?
A3. 一般的に、悪性腫瘍(がん)によるしこりは硬く、周りと癒着して動かないことが多いです。一方で、脂肪腫や嚢胞(水の溜まった袋)は柔らかく、よく動く傾向があります。しかし、例外も多いため、感触だけで「安全」と断定することはできません。必ず画像診断を受けてください。
Q4. 脇のしこりは放置しても自然に消えますか?
A4. 風邪のあとの一時的なリンパ節の腫れであれば、体調の回復とともに消えることがあります。しかし、数週間経っても消えない、あるいは大きくなる場合は、背景に病気が隠れている可能性があります。放置せず、早めにご相談ください。
院長より
脇にふとしこりを見つけたとき、その瞬間に頭をよぎる不安は計り知れないものだと思います。私たちは、そんな不安を抱えて来院される患者さんに、一刻も早く「安心」を届けることを大切にしています。四日市駅前よしかわ乳腺クリニックでは、乳腺専門医である女性医師と、画像診断のプロである放射線診断専門医が、それぞれの専門性を活かして二重の視点で診断を行っています。
私たちのクリニックは近鉄四日市駅近くの場所にあり、通院のしやすさにも配慮しました。精度の高い検査を、お待たせすることなく提供する。それが、地域のみなさんの健康を守る私たちの使命だと考えています。もし「これは何だろう?」と思うしこりがあれば、怖がらずに相談してください。何事もなければそれで安心できますし、万が一治療が必要な場合でも、早期に見つけることができれば、選べる治療の選択肢も広がり、予後も良くなる可能性が高まります。あなたの勇気ある一歩を、私たちは誠実な診療で支えます。
